米東部のマサチューセッツ総合病院で3月、重い腎臓病を患う男性(62)にブタの腎臓を移植する手術が行われた。生きている患者への移植は世界初で、患者は今月3日に無事退院した。手術を執刀したハーバード大医学部の河合達郎・外科教授が毎日新聞のインタビューに応じ、「日本の透析患者は見捨てられている」と危機感を示した。
重い腎臓病患者にとって人工透析は大きな負担で、臓器移植を希望する人が多い。ただドナー(臓器提供者)は世界的に不足しており、日本では特に深刻だ。今回は狙った遺伝子を自在に改変できる技術「ゲノム編集」を応用。ヒトに移植しても拒絶反応が起こりにくくしたブタを育成し、その腎臓を使用した。今後は他の患者にも拡大が期待されている。
河合氏は日本では生体腎移植が原則として親族間に限られるなど、「ドナーの数を増やす努力をしていない」と指摘。同じ技術を使った遺伝子改変ブタは日本でも既に誕生しており、「米国でうまく進み、日本でも今後3年くらいで移植が始まってくれればいい」と期待を示す。【ニューヨーク八田浩輔】
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