国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が11日、アゼルバイジャンの首都バクーで開幕する。途上国が地球温暖化対策を進めるための資金調達が最大の焦点となる。米国で脱炭素に批判的なトランプ前大統領の返り咲きが決まったことの影響も注目される。
会期は22日までの予定で、序盤の12、13日に首脳級会合が開かれる。11日に特別国会が召集されることなどから、石破茂首相は欠席の方針。18日からの閣僚級会合には、日本から浅尾慶一郎環境相が出席する方向で調整している。
COP29は「ファイナンス(資金)COP」とも呼ばれる。2025年以降に世界が拠出する途上国向け支援の規模や、ドナー(出し手)の範囲などについての合意を目指す。
条約では、先進国のみに資金拠出が義務づけられている。現行目標は「年1000億ドル(約15兆2000億円)」だ。途上国側からは、25年以降は年1兆ドル(約152兆円)以上の無償資金を求める声が上がる。事前の閣僚級会合では、議長国アゼルバイジャンは「数兆ドルが必要」としながらも、「公的資金のみで数千億ドル」という規模が現実的との見解を示していた。
世界全体で温室効果ガス排出を減らすには、新興国・途上国での対策強化が欠かせないが、途上国の場合は、先進国からの支援を前提に削減を進めようとしているケースも多い。COP29で資金の規模などについて合意できれば、途上国での対策加速につながることが期待される。
一方、トランプ氏の返り咲き決定で、交渉などへの影響を懸念する声もある。トランプ氏は気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」から再離脱する方針を掲げている。世界第2位の二酸化炭素(CO2)排出大国である米国で再び、気候変動対策に後ろ向きな政権が誕生するため、環境NGOからは「途上国に対策を停滞させる言い訳を与えることになる」との声も上がる。【山口智】
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