2014年、日本に導入された環状交差点「ラウンドアバウト」の数が少しずつ増えています。設置数が全国で最も多いのは宮城県。事故防止だけでなく、災害に強いなどのメリットがあるといいます。

「ラウンドアバウト」は日本語で「環状交差点」ともいう円形の交差点で、円の中をぐるっと回って進路を変える仕組みです。
ヨーロッパ発祥でフランス・パリの凱旋門の周りは巨大なラウンドアバウトになっています。
日本では2014年に導入されました。警察庁によりますと、今年3月末時点で全国にあるラウンドアバウトの数は161。そのうち28カ所が宮城県内にあり、全国で1位です。宮城県にラウンドアバウトが多いのは、東日本大震災も影響しているといいます。

宮城県警交通規制課 本間俊行課長補佐
「宮城県では道路交通法改正により環状交差点が導入された際、県内に存在していたロータリー交差点のうち19カ所を改築して環状交差点として整備しました。その後整備された9カ所については被災により更地になったとか、鉄道の廃線利用のために土地が広くあったということで環状交差点を整備したということになります」

津波の被害から道路を再整備する中で広い土地ができたこと。また、信号機が要らないため災害や停電の影響を受けにくいことなどが県内で多くなった理由の1つだということです。

こちらは山元町山寺にあるラウンドアバウト。この場所はもともとJR常磐線の線路でした。常磐線は震災後、津波対策で路線を内陸側に移動させましたが、元の用地が道路になり交差点はラウンドアバウトになりました。
航空写真で見ると、以前は線路だったことがよくわかります。その分、土地が広く、ラウンドアバウトの設置に適していたということです。

堤 勇高アナウンサー
「こちら亘理町の役場前にありますラウンドアバウトです。役場を利用する人などが通ることになります」

亘理町役場の前にあるラウンドアバウトは2020年に整備されたもので、県内でも有数の大きさです。近くに役場や防災広場などがある災害時の拠点になる場所で、地域のランドマークであり、復興のシンボル的な存在になっているそうです。この亘理町役場前のラウンドアバウトを実際に車で走ってみました。
まずラウンドアバウトに入る際は徐行します。この際円の中を走っている車が優先です。進入するときにウインカーは必要ありません。交差点内は時計回りの一方通行。円から出るときはウインカーで合図を出します。

堤 勇高アナウンサー
「自分が出るポイントのひとつ前の出口を過ぎたタイミングで左にウインカーを出します」

入るときや出るときは横断歩道を渡る歩行者に十分な注意が必要です。

一方、こちらは太白区中田町のラウンドアバウト。住宅街の中にあります。交差点の周りは住宅に囲まれていて徒歩や自転車で通行する人の姿も多く見られます。歩行者や自転車はどうやって通ればよいのでしょうか。

宮城県警交通規制課 本間俊行課長補佐
「歩行者につきましては交差点の外側に歩道もしくは外側線が設置されておりますので、その部分を通行していただくことになります。その際の通行方法の向きについては特段制限がありませんので反時計回りであっても通行することができます」

歩行者は中央のスペースを横切る形で斜めに横断することはできません。一方、自転車は道交法上は「車両」なので歩行者と違い逆走禁止。自動車と同じく時計回りに進まなければなりません。実は、ラウンドアバウトには信号機が要らないこと以外にもメリットがあります。

宮城県警交通規制課 本間俊行課長補佐
「交差点を徐行して通行するため重大事故の削減が期待できること。交通量が過大でなければ信号待ちの時間が発生しませんので待ち時間の削減につながること、待ち時間の削減によって二酸化炭素の削減に貢献できることが挙げられます」

県警によりますと、2014年以降、県内のラウンドアバウトで発生した人身事故はわずか3件、死亡事故はないということです。県警はさまざまなメリットがあることから今後もラウンドアバウトを増やしていきたいとしています。すでに新たな設置予定もあり、県内のラウンドアバウトはさらに増えていきそうです。

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