夜も小まめに体を動かせば、睡眠の質が改善するかもしれない PIXELSEFFECT/ISTOCK
<寝る直前の激しい運動は睡眠の質を低下させるが、シンプルな自重トレーニングで小まめに体を動かす程度なら「副作用」の心配はいらない>
夜にぐっすり眠りたければ就寝前は運動を避け、身も心もリラックスすべきとよく言われる。だが最新の研究によれば、夜に軽い運動を習慣化することで、睡眠の質の向上が期待できるという。
米疾病対策センター(CDC)によれば、アメリカ人の成人の7人に1人は寝付きの悪さに悩んでいるという。椅子やソファに座ったままで過ごす時間が長い人はアメリカ人の4人に1人と言われるが、そうした生活習慣が睡眠の質に悪影響を与えている可能性を示す研究も数多い。
かといって、寝る直前に激しい運動をやれば、寝付きがさらに悪くなる可能性がある。「現在の睡眠に関するガイドラインでは、寝る前に激しい運動をするのは推奨されない」と語るのは、オタゴ大学(ニュージーランド)人間栄養学部の大学院で研究しているジェニファー・ゲイルだ。
「寝る前の激しい運動を避けるように言われる理由の1つは、体温と心拍数が上がって睡眠の質に悪影響を及ぼす可能性があるからだ」とゲイルは言う。
ただし、運動と睡眠を両立させる方法がないわけではない。「長さにして2〜3分の激しすぎない運動であれば、心拍数も体温もそれほど上がらない」とゲイルは言う。
BMJオープン・スポーツ&エクササイズ・メディスンに発表した論文で、ゲイルらの研究チームは夜に短時間の運動をした場合に睡眠の質が改善されるかどうかを調べた。
研究では夜の4時間について、28人の被験者に2つのパターンで過ごしてもらった。1つ目のパターンでは座りっぱなし。2つ目では30分ごとに3分間、椅子スクワットやかかと上げといった運動をやってもらったのだ。
とにかく席を立てばいい
「シンプルな自重トレーニングを選んだのは、道具や広いスペースが不要で、テレビを見ながらやれるからだ」と、同じくオタゴ大学人間栄養学部のメレディス・ペディー上級講師は言う。その結果、軽い運動をした場合の被験者の睡眠時間は平均して30分延びたという。
同じ効果は、家の中で動いたり家事をするだけでも得られるかもしれない。
「家の中を歩き回ったり、階段を上り下りしたり、リビングルームでダンスするだけでも、おそらく効果はあるだろう」とゲイル。
「どんな体の動かし方でもいいから、自分や家族にとってやりやすいものを選べばいい。そうすれば効果は得られる。要するに夜、座りっぱなしで過ごすよりも時々席を立つほうが体にいいということなのだから」
今回の研究結果が本当に正しいかどうかは今後、もっと大規模な研究で確かめる必要がある。
また、睡眠の質を高める効果の生化学的な仕組みもまだ解明されていない。それでもこの研究は、夜の過ごし方を大きく変えなくても、ちょっとした工夫で睡眠の質を改善できる可能性を示してくれた。
おやすみ前の簡単エクササイズ
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