広島県内のみならず全国各地に影響を及ぼした学食停止問題から1年。
教訓を活かした今の姿を取材しました。
【野川キャスター】
「12時半過ぎの三次高校です、食堂はまさにお昼時ということでたくさんの生徒たちが、あちらでおかずを受け取っています。これからここが大いににぎわう時間帯を迎えます」
【寮生】
「いま受験勉強でかなりしんどい時期だが、こうして温かいご飯を食べることで、もう一歩頑張ろうという気持ちになる」
寮生にとっての何気ない日常…。
しかし1年前、この”当たり前”が崩れました。
去年9月、食堂の運営を委託していた広島市の業者が経営破綻し、突如、食事の提供がストップ。
県内のみならず全国各地で大きな影響を出し、県立三次高校では教員たちが授業の合間にパンや果物など寮生の食料調達に追われました。
あれから1年…。
【三次高校・山垣内雅彦 校長】
「(世の中が)刻々と状況が変わっているので、食材費の問題であるとか含めて、その都度お互いの立場で情報交換をしながら、適正な食事が提供できるように努めている」
当時、反省点として挙がったのが、業者を選ぶ際に価格のみで評価する一般競争入札です。当該業者は他と比べて極端に低い価格で入札し、結果的に物価高騰や人件費増加などで食事の提供ができなくなりました。
そのため今年度から経営状況や材料の調達方法、障がい者雇用率など総合的に評価する方法に変更。おおむね3年間の契約で、主に人件費が占める県立高校6校分の業者への委託費は、これまでよりも4倍弱、増えたといいます。
【寮生】
「食事をつくってくれている食堂のみなさんにもいつも感謝し、残り物がないようにおいしく食べたいと思う」
各家庭で負担する「1日3食の材料費」についても1割値上げされていますが、この先も物価高騰の影響が懸念されることから、事前に保護者の理解を得て、学校側も業者とのコミュニケーションを密にしているといいます。
一方、寮生の食事だけでなく、一般生徒の昼食も担う食堂がストップした広島市立沼田高校では…。
【沼田高校・三浦秀行 校長】
「みなさんのおかげで4月から再開したが、現在、生徒、また寮生の生徒も含めて毎日おいしく食べさせていただいている」
【毛利記者】
「沼田高校の食堂で、はかけうどん250円、カレーライス350円と高校生に買いやすい価格設定になっていて、こちら、生徒の発案でテイクアウトのメニューも用意されています」
沼田高校では当時PTAが業者と契約していましたが、今年度からは寮の設置者として市が主体となって契約し、食材費以外の人件費などを市が負担することとなりました。
そのため、量・質ともに充実しているといいます。
【生徒】
「種類が豊富になったなという気がする」
「おかずが2種類あって、自分が好きな方をとれるので、いつも4時間目終わったらダッシュで頑張っている」
また、新たな業者はこんな取り組みも…。
【毛利記者】
「こちら、運営会社が生徒や教職員に満足度を調べるアンケート調査を行っています」
日々の学業の源ともなる食の安心安全を確保するため、様々な意見交換が活発になっているようです。
<スタジオ>
この問題を経て、いい方向に進んだ側面もあるのかなと思いながらも、やはり育ち盛りの生徒たちの食事しっかりと作って頂きたいですね。
【コメンテーター・木村文子さん】(エディオン女子陸上部アドバイザー)
「栄養面を考えられた食事を楽しみにしている生徒さん多いと思いますし、1年経ったというところで、まだ物価高騰などの問題が続いているので、この問題がまた繰り返さないように、いろんなところと情報交換して連携をとってほしいと感じる」
この物価高騰に関しては、影響の出た学校の中には、この9月に数十円値上げをしたという学校もあったようです。コメの値段が高いということで、業者も頭を痛めているということなんですが、協議をするかどうかという段階の学校もあるということです。今後も注視していく必要があります。
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