『ちぎれ雲(一)』

『ちぎれ雲(一)』富樫倫太郎著(中公文庫・836円)

美丈夫で日々放蕩にふけり、女性たちが群がる主人公。剣の達人で大身旗本の次男坊という誰もがうらやむ恵まれた境遇。しかし宮仕えを嫌い、気ままな用心棒暮らしを送っています。これだけなら、ただの嫌みな男ですが、実は秘密があり、江戸中を恐怖に陥れる強大な敵と対決することに―。

歴史時代小説、警察小説で多くのシリーズ作品を持つ著者は、本作を執筆するにあたり、今までとは違う、汲々と組織で生きるのではなく、型破りで、持てるものを全部持っている、とんでもないヒーローを痛快に書いてみたいと考えました。

相棒もいます。主人公と同じく剣の達人ながら、対照的に容姿に恵まれない貧乏御家人、陰気な性格で女性は寄りつかない。でも2人は親友なのです。ピンチが訪れる度に、不思議とどちらも応援してしまうのです。

新しい時代小説ヒーローが活躍する本作、刊行後即、重版しました。ぜひお読みください。(中央公論新社書籍編集局 高松紀仁)

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