厚田港朝市で新鮮な海の幸に長蛇の列
札幌市から車で約1時間、石狩市にある厚田港朝市。まだ開店30分前にもかかわらず、すでに多くの人々が新鮮な魚を目当てに集まっていました。
「サケを買いに。きょうは早く来すぎた。でも、いつも開店ごろ来ている」(お客さん)。
朝市には、今が旬の秋サケをはじめとする海産物が勢ぞろい。重さ3キロを超える大きな秋サケも。
秋サケが大人気 漁獲量は減少
2024年は猛暑の影響で、厚田漁港での水揚げされる秋サケの量は2023年の半分以下なのだそう。その一方でお得なのが…。
「ブリ(イナダ)。大きいほうが1000円。これは1本(1キロ)500円」(札幌からの客)。
いまが旬のイナダを買った人は、「刺身で食べる」と教えてくれました。柵にして冷凍保存するんですって。
釣りが趣味でさばくのが得意だという男性が買ったのはサケ。チャンチャン焼きにして食べるのだそう。
中にはちょっと珍しい魚も。
ゴムカジカは、身がしまっておいしいのだそう。ジャガイモや大根、ニンジンなどを入れてみそ汁にするとおいしいんですって。
飲食店を経営する家族に密着
今回取材に協力してくれたのは、札幌市北区に住む山田光代さん(58歳)とその息子の志穏さん(27歳)。
光代さんは、飲食店を経営する夫・彰さんとの2人暮らし。息子の志穏さんは、近くで奥さんと5歳の娘と暮らしています。
志穏さんは、東京の高級鮨店で修行したあと、数々の飲食店で修行を重ね、2年前、大好きな地元、北区拓北で大好きな海鮮居酒屋をオープンさせました。
10代の頃から親元を離れていた志穏さん。母の料理を手伝う時間を大切にしているそうです。
志穏さんはお店の仕込みへ。
母、光代さんは、さばいてくれた魚で夕食づくり。イナダの頭はグリルで塩焼きに。
イナダのアラ汁は具だくさん。
夫も息子も調理師の光代さん。料理のプロを相手に食事を作るのはなんだか大変そうですが、実家の庭で育てたハーブでカルパッチョソースを作るなど、光代さんもプロ顔負け。
家族みんな、作るのも食べるのも大好きなんだそう。
まるでお店みたいな品数の多さにビックリ!
夫の彰さんは「(食事が)コミュニケーションじゃないですかね。作り出して、それを見ておいしそうだなって食べて、『これおいしいね』『この間あそこで食べたやつを作ってみたんだ』そこから話も生まれる」と話します。
光代さんの美味しい料理が家族をつないできたんですね。
一人で買い物に来ていた年配の男性に密着
開店から3時間後、1人で買い物に来ていた年配の男性がサケをさばいてもらっていました。
「後で取りに来る」という男性にお店の人が「ちゃんと戻ってきてよ」と声をかけます。たまにお金だけ払って、忘れて帰ってしまう人もいるのだとか。
15分後、筋子を受け取ったタイミングで「自宅で作っているところを見せてもらえないですか?」とお願いすると、なんと二つ返事でOK。
札幌市中央区の一軒家に住む石川昭次さん、末子さんご夫婦。45年間、厚別区で小さな薬局を営んでいたそうです。
朝とれたばかりの筋子でイクラのしょうゆ漬けを作るのは、82歳の夫、昭次さんの担当です。
まず、塩をまぶして水洗い。そして60度くらいのお湯に入れてほぐしていきます。
もう50年以上、毎年欠かさず作っているんですって。
水気を切るために塩を振って少し時間を置けば、あとは味付け。
みりんと酒、大さじ2ずつを電子レンジで1分加熱してアルコール分を飛ばし、完全に冷めたらイクラに入れ、最後にしょうゆを大さじ3、加えます。
あとは2~3時間、冷蔵庫で寝かせて完成。
イクラをとったメスのサケは石狩鍋に。
石狩鍋に入れるジャガイモは妻の末子さんが作ったもの。薬局で働きながら、3人の子どもを育ててきた末子さんは、節約が得意。
「ギリギリの生活をしていた」という末子さん。収入を増やすよりも、支出を減らすように工夫。消耗品はできるだけやりくりしていたんですって。
ギリギリの生活だったわけは、夫の昭次さんのお人好しな性格も影響していたそう。
昭次さんは知人に頼まれ、犯罪や非行をした人たちの社会復帰を支援するボランティア、保護司として32年間活動していました。
妻の末子さんによると、保護司として受け入れてきた人も一緒に料理を作って食べていたんですって。
見ず知らずの人を32年間受け入れてきたご夫婦にとって、ディレクターを家に招き入れることには何の抵抗もなかったと教えてくれました。
昭次さんが漬けたイクラは丼に。
妻の末子さんが作った石狩鍋と一緒に食卓へ。
とってもおいしそう!
子どもたちも巣立ち、保護司も引退。自由にお金を使えるようになった今、昭次さんの楽しみは車でおいしいものを買いに出かけること。
でも、2025年の3月には免許を返納する予定なのだそう。
「もう歳(82)だから、もし運転して迷惑かけたり、事故を起こしたりしないうちにやめる」と決断したんですって。
「車がなくなったらいけなくなってしまうかもしれないのは…」と声をかけるディレクターに「それはそれで、他の人に『行こう』って声をかけるか…」と昭次さん。
「子どももいるから」という末子さん。
苦労を乗り越えて今の幸せをかみしめる。
ステキなご夫婦のリアルめしに出会えました。
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